今日は股関節唇損傷に対する縫合術と円板状半月板損傷に対する温存縫合術を行いました。
円板状半月板についてお話いたします。
半月板は三日月の形をしていますが、生まれつき満月のように丸い半月板の
方がクラスに1人ぐらいの割合でおられます。
ほとんどが外側の半月板です。以下のような症状があります。
(図は膝の外科より引用)
今まではほぼ全切除が行われてきました。
普通の半月板の線維配列と異なるため、
傷みが広範囲に広がっているケースが多いからです。
(右端の写真の様に半月板がほとんど全部ない状態(亜全切除))
しかし、半月板はクッションですし、再生しない組織です。
切除したことによる合併症として、軟骨の摩耗の進行や離断性骨軟骨炎の
発生があります。
当科では可能な限り温存する手術を行なっています。
写真は円板状半月板です。前にせり出す様に大きいのが特徴です。
半月板周囲の断裂があります。
以前ならこの様な場合、半月板の亜全切除となっていました。
現在はこれを縫合して、温存しています。(糸をかけているところ)
縫合後、大きい半月板を削って正常の大きさに近づけます。
大抵の場合、水平断裂が存在するため、縫合は難しいです。
この写真も水平断裂がありましたが、温存できました。
さらに、股関節唇損傷に対しても、
がっちり縫合することができました。
昨日も書きましたが、これらは4,5年ほど前では考えられなかった手術です。
諸外国では亡くなった方から採取した半月板を移植することが可能ですが、
日本では認められておりません。
iPS細胞などでの再生医療が可能となる日まで、
こうした関節鏡視下手術で温存できるものは全て温存していくのが
関節外科医の使命と考えております。
兵庫医科大学病院 整形外科 助教 中山 寛
スポーツ関節鏡外来
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股関節鏡、膝関節鏡、足関節鏡手術:
前十字靭帯再建、半月板縫合、股関節唇縫合、
膝関節温存手術(骨切り術)を主に行なっております。